serial experiments lainのキービジュアルを壁紙にしたら一日が終わった
serial experiments lainは一九九八年に放送された作品で、今でも定期的に見返してしまうアニメのひとつです。主人公の岩倉玲音(いわくら れいん)が、画面いっぱいに張り巡らされたケーブルの向こうでこちらを見つめているキービジュアルは、放送当時からずっと印象に残っていました。作品の持つ不穏さと、どこか懐かしい空気感が同居する構図で、普通のアニメのポスターとは一味違う存在感があります。
しばらくデスクトップの壁紙を換えるタイミングを探っていたところ、そのキービジュアルが思いのほか高解像度で公開されているのを見つけました。どうせ一日中眺めることになる画面なのだから、好きな絵で埋め尽くしたほうが人生の効率がいい——そんなふうに思い、迷うことなく設定しました。設定そのものは数分で終わる、本当に些細な作業です。
最初の数時間は何とも言えない充足感に包まれました。しかし作業を始めてからほどなくして、想像していなかった副作用に気づくことになります。
壁紙候補を冷静に比較してみる
ただ漠然と設定したわけではありませんでした。設定する直前、実はいくつかの候補を並べて比較していました。以下の表は、そのときに作ったメモを抜粋したものです。
| 候補 | 雰囲気 | 集中への影響 | その日の気分 |
|---|---|---|---|
| 白無地 | シンプル | ◎ | 普通 |
| 風景写真 | 落ち着く | ○ | やや眠い |
| lainのキービジュアル | 不思議 | × | 異様に冴える |
| ゲームのスクショ | 好き | △ | 仕事と関係ない思考が湧く |
表でも明らかなように、集中への影響の観点だけを見れば白無地に軍配が上がります。lainのキービジュアルは、雰囲気の良さでは群を抜いているものの、仕事をするという一点だけに絞ると明らかに邪魔です。なのに自分は、無意識に lainの列を選んでいました。
lainの視線が突き刺さる理由
なぜ lainのキービジュアルがこれほどまでに目を奪うのか、改めて考えてみました。理由は単純で、絵の中で玲音がこちらを見続けているからです。CRTモニターの緑がかった光が、彼女の横顔を照らし、画面の奥には意味ありげに並ぶケーブルとウィンドウ群がある。アニメの途中のワンシーンを切り取ったかのような、物語の入口に立つ一枚です。
見ているこちらも、何か重大な何かが始まる直前の緊張感を共有させられます。それはアニメの視聴体験としては最高なのですが、デスクトップの上で展開されると、自分の作業中ずっと何かに見張られているような気持ちになります。普通の風景写真なら気にならないような視線にも、不思議と反応してしまいます。
集中力が霧散する瞬間たち
具体的にどんな瞬間に集中が切れるか、書き出してみます。まず、ブラウザのタブを切り替えるたびに視界の端で lainの横顔が揺らいで気になります。次に、玲音の白いうなじの曲線に目を奪われて数秒止まります。そして決定的だったのは、ふと気づくとキービジュアルの世界に入り込んでしまう瞬間があるということです。
つまり、作業中に違う物語が始まってしまう。lainの中で展開される通信と現実のネットワーク、自分と玲音の境界が曖昧になる、あの独特の世界観に引きずり込まれるのです。気がつくとマウスが止まり、キーボードから手が離れ、画面の中で何が起きているのかを妄想し始めています。これではまともに仕事は進みません。
作業環境を見直したくなって別の話
lainのキービジュアルを壁紙にしてからというもの、気づけば自分の作業環境そのものを疑うようになりました。普段使いの Mac では Windows を動かしているのですが、そのへんのチューニングの話は以前にも書いたとおりです。それから、ゲームをする時間も明らかに増えていて、Nintendo Switch を触る頻度が仕事の生産性と直結していることを痛感しました。そこで思い切って、ペアレンタルコントロールを自分にかけてゲーム時間を制限してみることにしたのです。lainに精神を支配される前に、生活のリズムだけでも整えようというささやかな抵抗でした。
UIと壁紙は結局似ているのかもしれない
lainを見ているうちに、ふと自分のブログのデザインについても考えが及びました。普段、AFFINGER5 というテーマを使ってサイトを運用しているのですが、モバイル表示のハンバーガーメニューの構成がどうにも煩雑で、画面を見るたびに集中力をそがれている感覚がありました。lainのキービジュアルがデスクトップで起こしていることと、本質的には同じなのかもしれません。視線を奪う要素は、壁紙であれ UI であれ、同じだけの引力を持つものです。
そこで思い立って、ハンバーガーメニューそのものを見直すことにしました。調べてみると、ハンバーガーメニュー設定について丁寧にまとめられた記事があったので、それを参考にしながら組み直しています。lainから目を離すために、別の画面の整理を始めている——自分で自分を笑いたくなるような本末転倒です。
一日が終わるころに残ったもの
こうして書き出してみると、壁紙一枚でこれほどまでに生活が乱れるとは思ってもみませんでした。仕事の進みは確かに芳しくないのですが、反面、lainの世界観にどっぷりと浸かった一日というのは、そう悪くない体験でもありました。集中できないなりに、玲音の視線を浴びながらキーボードを叩いている時間は、漫画やゲームを遊んでいる以上に脳が心地よく疲れる感じがします。
効率だけを追い求めれば壁紙は白紙にして、通知も全部切って、視線を奪うものを一切排除すべきなのでしょう。でも、自分の場合はどうやらそうやって身を削るやり方は性に合わないようです。
明日もこの調子で
今夜もきっと、デスクトップには lainのキービジュアルが鎮座したまま朝を向かえるでしょう。生産性は相変わらず壊滅的かもしれませんが、それも含めてこの仕事の延長線上にあるのだと思うことにします。アニメを観る時間でも lainは観ないし、一日の中でこれほど lainのことを考え続ける日もありません。
もし同じようにアニメのキービジュアルを壁紙にして後悔している方がいたら、きっと同じ気持ちだと思います。視線を返してくるキャラクターには、それだけで人を引きずり込む引力があるものです。
同じ轍を踏んだ方は、コメント欄でそっと教えてください。お気に入りの壁紙事情なども共有してもらえると嬉しいです。それでは、また次回の更新で。