Macのメモアプリを整理して思考の断捨離を試してみた記録

ある日、Macのメモアプリを開いたとき、画面をスクロールしても過去の日付に辿り着けない自分に気がつきました。学生の頃から書き留めていた雑多な思考、買い物リスト、思いつきの文章、仕事のメモ — すべてが時系列で積み重なっていたのです。検索すれば見つかるとはいえ、もう何がどこにあるのか自分でも把握できていない。思考の倉庫というより、思考のごみ箱と化していました。

そこで思い切って、macOS標準のメモアプリを対象とした大掃除を決行しました。思考の断捨離をデジタル空間でやってみようという試みです。本記事ではその手順と、実際にやってみて感じた心境の変化を振り返ってみたいと思います。片付けがうまくいけば、もっと素直に頭を動かせるようになるのではないかという淡い期待もありました。

思考がごちゃごちゃになった背景

数年前まで、メモアプリといえばEvernoteやBear、Googleドキュメントが主流でした。僕もいくつかのサービスを渡り歩いてきましたが、最終的に落ち着いたのはmacOSに最初から入っている「メモ」アプリです。iCloudで同期され、iPhoneでも開ける。特別な設定をしなくても使える手軽さが一番でした。

ただし、その手軽さが仇になりました。頭の中に浮かんだことをとりあえず放り込む場所として便利すぎて、結果として思考の置き場所が曖昧になっていったのです。以前Amazonの注文履歴を見直す話を読んで家計の無駄遣いに気づいた時のように、自分の行動を可視化する感覚が必要だったのかもしれません。

整理のルールづくり

闇雲に削除するのは危険です。必要な情報まで消してしまうリスクがあるからです。僕が決めたルールはシンプルでした。①半年以上開いていないメモは候補、②既に実行済みのToDoリストは完了扱い、③他サービスへ移行可能なものは移動、④完全に重複している内容は一つだけ残す。この四つを基準にしました。

特に時間をかけたのが、感情で書かれたメモの扱いです。愚痴や反省、落ち込んだ夜の落書き — こういうものは読み返すと当時の感情がぶり返します。かといって全部消すのは乱暴なので、タイトルをつけて分類したうえで、読めるフォルダに隔離するという逃げ道を用意しました。完全な消去ではなく、距離を取るイメージです。

タグとフォルダの再設計

Macのメモアプリは、比較的新しいmacOSでタグ機能が強化されています。これまでは「仕事」「私用」「買い物」くらいの雑な分類しかしていませんでしたが、今回はもう少し丁寧に切り分けました。たとえば進行中の案件ごと、インプット系、感情系 — 全部で十五ほどのタグに整理し直しました。

フォルダの階層は浅めにしました。深くしすぎると今度はどこに入れたか分からなくなるからです。第一階層は「進行中」「保管庫」「日記・雑感」の三つだけ。あとはタグで横断的に管理する形にしました。複数カテゴリにまたがる話題はタグで扱う方が楽だと気づいたのも、この整理のおかげです。

実際に手を入れた作業

具体的に何をしたかというと、まず五年以上触っていない古いメモを片端から開いていき、内容を吟味しました。次に、進行中のプロジェクトに関するメモを「進行中」フォルダへ移動。そして完了済みのタスクはアーカイブという形で、ノート自体は残しつつリストからは外す処理をしました。

一番時間がかかったのは要不要の判断そのものです。一見するとどうでもいい一行メモでも、後々どこかで使えるかもしれない。そう思うと削除ボタンに指が伸びません。結局、判断に迷ったものは「保留」タグをつけて一旦寝かせる方針にしました。二週間後に見直して、やはり不要ならその時に消す。衝動的にまとめて消してしまうのは避けたかったのです。

断捨離で残ったものと失ったもの

最終的には、メモの総数が三分の一以下になりました。体感ですが、起動時に表示されるリストが短くなり、必要なメモに辿り着くまでの時間が半分くらいに短縮された気がします。検索ヒットもノイズが減って、目的のメモが上位に出てくるようになりました。

その半面、消したことを忘れて同じ内容をもう一度書いてしまうという小さな事故も起きました。あるゲームの攻略メモを消した数日後、プレイ中に同じ情報を必要になり、もう一度ゼロから書き直す羽目になったのです。消した以上は仕方ないとはいえ、デジタルな記憶は思ったより脆いものだなと実感しました。僕はこのブログでもゲームの話題を取り上げることが多いので、メモ整理の大切さを改めて噛みしめています。

思考と暮らしの変化

メモを整理した後、久しぶりに頭を空っぽにしてボーッとする時間が増えた気がします。これまでは常に「あれを書かなきゃ」「これを確認しておかなきゃ」という小さなタスクが頭の中にチラついていたのですが、メモ環境を軽くしたことで頭のメモリにも少し余裕が生まれたようです。

コーディネートの話を読んでいる時、思考の余白があると内容がよく頭に入ってくるのが分かります。これは大げさな話ではなく、要は片付いた机の上では勉強もはかどるのと同じで、思考の整理は部屋の片付けと同等の効果があるのだと、今回の実験で確信しました。

同じようにMacのメモアプリが肥大化してきたと感じている方は、まず半年ルールだけでも試してみてください。全部を一気にやらなくても、月に一度ランチタイムの三十分だけ整理に充てるだけでかなり違います。思考の断捨離は、一度のイベントではなく習慣にしてこそ意味があるのだと思います。きっとあなたの頭も、少しだけ軽くなりますよ。